こんにちは、HºM'S" Watch Store 編集部です。
HMS Brand Picks 第3回は、スウェーデン発のマイクロブランド CORNICHE(コーニッシュ) を取り上げます。
クラシックな意匠をベースにしながらも、決して懐古に留まらない。
むしろ、現代のライフスタイルにフィットする「再解釈されたクラシック」を追求し続けるブランドです。
フランス・コートダジュールに着想を得た世界観。
そしてHºM'S" Watch Storeとの2度にわたるコラボレーション。
CORNICHEというブランドの“らしさ”を、あらためて紐解いていきます。
目次
クラシックを、いまの時間感覚でつくるということ
CORNICHEというブランド - クラシックを「信じすぎない」からこそ、今の腕に似合う
CORNICHEは、
いわゆる“伝統”を売りにするブランドではありません。
スイスの老舗でもなければ、
何世代も続く工房の物語があるわけでもない。
それでも、
クラシックウォッチがなぜ今も人を惹きつけるのか
その本質だけは、驚くほど正確に捉えています。
CORNICHEが掲げる
「REINVENTING THE CLASSIC WATCH」 という言葉は、
懐古主義ではなく、むしろ少し距離を取った視点です。
「昔の時計は美しかった」
でも、
「そのまま今の生活に合うか?」
その問いを、彼らはちゃんと自分たちに投げています。
だからこそ、
・サイズ感は現代的
・視認性は明確
・スーツにも、休日にも寄りすぎない
“クラシックをそのまま信じない”勇気が、
CORNICHEのデザインには通底しています。
インスピレーションの源 - コート・ダジュールという「時間の流れ方」
CORNICHEの世界観は、
フランス南部・コート・ダジュールの空気感なしには語れません。
幼少期、彼らが何度も夏を過ごしたのは、
プロヴァンス沿岸の小さな港町
サナリー・シュル・メール。
切り立った岩肌の海岸線、
松林の香り、
夕暮れに響く蝉の声。
この土地には、
「時間を急がせない空気」があります。
F.スコット・フィッツジェラルドが愛し、
ココ・シャネルが夏を過ごした場所。
派手なリゾートではなく、
“何もしない贅沢”を知っている大人たちの場所。
CORNICHEの時計が、
どこか余裕を感じさせるのは、
この時間感覚をデザインに持ち込んでいるからです。

“Corniche”という名前に込められた意味 - 断崖の上を走る道のように
「Corniche(コーニッシュ)」とは、
フランス語で断崖沿いを走る海岸道路を意味します。
ニースからモナコ、マントンへと続く
グランド・コーニッシュ、
モワイヤン・コーニッシュ、
コーニッシュ・アンフェリウール。
どれも美しい反面、
一歩間違えれば海に落ちかねない、
少しの緊張感を孕んだ道です。
実は、
彼らが夏を過ごした家も
Avenue de la Corniche にありました。
この名前が象徴しているのは、
単なる風景ではありません。
・クラシックに寄りすぎない
・モダンに振り切りすぎない
・でも、無難にはならない
“美しいが、攻めている”
そのバランス感覚そのものが、
CORNICHEという名前なのです。
数字で見るCORNICHE - 小さく始まり、世界へ広がったブランド
CORNICHEは、2013年8月16日、
「Mistral 40」という1本の時計から始まりました。
ローマ数字を配した、
非常にクラシックな佇まいのモデルです。
それから約4,500日。
現在では、
世界128カ国へ時計を販売・発送
16のモデルラインを展開
決して大量生産ブランドではありません。
しかし、
「クラシックを今の生活で楽しみたい」という価値観が、
静かに、しかし確実に支持を集めてきました。
HºM'S" Watch StoreとCORNICHE
「日本の友人たちへ」と刻まれた、特別なコラボレーション
単なる“別注モデルを作った”という一言では片づけられません。
むしろこれは、
価値観を共有できたブランド同士が、時間をかけて築いた関係
と表現したほうが正確です。
なぜCORNICHEだったのか
HºM'S" Watch StoreがCORNICHEに惹かれた理由は、
デザインや価格帯だけではありません。
・クラシックを盲信しない姿勢
・マーケティングよりも、設計の判断を優先する点
・「日常で使われる時計」であることを前提にしていること
これらは、
HMSが長年バイイングで大切にしてきた価値観と、
驚くほど重なっていました。
派手ではないが、浅くもない。
その“ちょうどよさ”を、
一緒に形にできるブランドだったのです。
2023年コラボレーションモデル ”Ciel Nocturne(シエル・ノクターン)”

夜空を、腕時計でどう表現するか
最初のコラボレーションモデル
「Ciel Nocturne(シエル・ノクターン)」 は、
その姿勢を明確に示した1本でした。
テーマは「夜空」。
しかし、
単にダークカラーでまとめるのではなく、
アベンチュリンダイアルという素材を選択。
光の角度によって、
静かに、しかし確実に表情を変える文字盤は、
派手さとは別の“奥行き”を持っています。
このモデルで特筆すべきは、
ケースバックの表現です。
通常のCORNICHEモデルでは、
フランス・コートダジュールを象徴する
松の木が刻まれています。
しかし、このコラボモデルでは、
夜空を背景にした 盆栽 とともに、
「IN COLLABORATION WITH OUR FRIENDS IN JAPAN」
という言葉が刻まれました。
これは単なるデザイン変更ではなく、
“誰と、なぜ作った時計なのか”を明確に刻む行為です。
2024年コラボレーションモデル ”Ciel Nocturne II(シエル・ノクターン 2)”

関係性が深まったからこそ、できた選択
第2弾となる
「Ciel Nocturne II」 は、
より踏み込んだ内容でした。
文字盤には、
ブラックマザー・オブ・パールを採用。
光の入り方によって、
緑や藍色が浮かび上がるその表情は、
第1弾とはまた異なる「夜」を描いています。
さらに、
ベースモデルであるHeritage Chronographに、
ワンカウンタークロノグラフという
通常ラインには存在しない構成を採用。
これは、
「日本市場向けだから特別に装飾した」のではなく、
“この関係性だからこそ任せられた設計判断”
と見るべきでしょう。
裏蓋には再び盆栽のモチーフと、
「MANUFACTURED EXCLUSIVELY FOR OUR FRIENDS IN JAPAN」。
ここまで明確な言葉を刻むブランドは、
決して多くありません。
コラボモデルが語る、CORNICHEというブランド
2つのCiel Nocturneが示しているのは、
CORNICHEが
「マーケット別注」を
単なる数量限定商品として扱っていない、という事実です。
・その国の感性
・一緒に作る相手の思想
・その上で、ブランドとして守るべき一線
それらをすり合わせた結果として、
あの2本は生まれています。
短期間で完売したこと以上に、
“また作りたいと思える関係性が続いている”
それ自体が、このコラボレーションの価値なのかもしれません。
バイヤー視点でのひとこと
Ciel Nocturneは、
「特別だから欲しい時計」ではなく、
“CORNICHEというブランドを、最も深く理解できる入口”
だと私たちは考えています。
なぜなら、
この2本には
CORNICHEの美意識と、
HºM'S" Watch Storeの視点、
その両方が正直に刻まれているからです。
ブランドを知る、というのは
スペックを覚えることではありません。
どういう相手と、どういう時計を作ろうとするのか。
そこに、そのブランドの本質は表れます。
ブランドを象徴するモデル
CORNICHEらしさが、最も分かりやすく表れている2本
CORNICHEのラインナップは、
決して数で勝負するタイプではありません。
過去のモデルを含め16のモデルコレクションは存在しますが、
その中で「このブランドを理解する入口」として
必ず触れておきたいのが、次の2つです。
Heritage Chronograph(ヘリテージ クロノグラフ)|クラシックを、日常で使い切るためのクロノグラフ

― クラシックを“日常で使う”という発想
Heritage Chronographは、
CORNICHEを語るうえで避けて通れないモデルです。
いわゆるクラシックなクロノグラフの文法を踏まえつつ、
サイズ感、配色、文字盤の整理の仕方は非常に現代的。
・大きすぎないケース径
・視認性を損なわないインダイアル配置
・スーツにも休日にも寄りすぎない顔つき
このモデルを見ていると、
CORNICHEが「クラシックを飾りとして扱っていない」ことがよく分かります。
特に印象的なのは、
“クロノグラフを特別な機構にしすぎていない” 点。
計測するための道具でありながら、
日常の時間の流れを邪魔しない。
それは、
・週末だけの時計
・気合を入れる日の時計
ではなく、
“普通の日にも自然に手に取れるクロノグラフ”
を目指しているからです。
実際、HºM'S"とのコラボレーションモデル
「Ciel Nocturne / Ciel Nocturne II」のベースに
このHeritage Chronographが選ばれていることも、
その完成度の高さを物語っています。
La Grande Corniche(ラ・グラン・コーニッシュ)|引き算で完成する、CORNICHEの美意識

― 引き算で成立する、CORNICHEの美意識
もうひとつの象徴的なモデルが、
La Grande Corniche です。
クロノグラフとは対照的に、
こちらは極めてシンプルな3針モデル。
しかし、
ただミニマルなだけではありません。
・インデックスのバランス
・針の長さと太さ
・文字盤の余白
どれか一つでもズレると、
“普通のきれいな時計”で終わってしまう領域です。
La Grande Cornicheは、
そのギリギリの線をきちんと見極めています。
これは、
クラシックを「装飾」で成立させるのではなく、
プロポーションと空気感で成立させようとしている証拠。
時計に詳しくなるほど、
このモデルの“何もしていないようで、実は非常に判断が多い”
という点に気づくはずです。
2本に共通する、CORNICHEの設計思想
Heritage ChronographとLa Grande Corniche。
一見まったく異なる2本ですが、
共通しているのは次の点です。
・過去の名作を、そのまま再現しない
・機構や意匠を、誇張しない
・今の生活リズムに無理なく収まる
つまり、
クラシックを“使う側の視点”で再構築している。
CORNICHEのモデルは、
「分かる人にだけ分かればいい」という作りではありません。
ですが、
分かろうとすると、ちゃんと奥行きがある。
だからこそ、
・初めて少し良い時計を買う人にも
・何本も経験した後の人にも
同じモデルが、違う深さで刺さるのです。
バイヤー視点でのひとこと
CORNICHEの象徴的モデルを選ぶなら、
「どちらが上」ではなく、
「どんな時間を過ごしたいか」で選んでほしい。
・日常に少しだけ高揚感を足したいなら、Heritage Chronograph
・静かに、長く付き合える1本なら、La Grande Corniche
どちらも、
クラシックを“今の自分の時間”に引き寄せてくれる
という点で、間違いなくCORNICHEらしいモデルです。
かくいう私もH°M′S″に入った理由はCORNICHEなのでとても思い入れがあるブランドなのです。
どこかスイスのモノづくりよりもドイツ、グラスヒュッテを思わされる佇まいに惚れ込んでしまいました。
CORNICHEを選ぶということ
― クラシックを、これからの時間で使うために
CORNICHEの時計は、
ひと目で強い主張をするタイプではありません。
ですが、
しばらく眺めていると、
そして実際に腕に乗せて時間を過ごすほどに、
「よく考えられている時計だな」と感じさせてくれます。
それは、
過去の名作をなぞることでも、
奇抜さで目を引くことでもなく、
“今の生活の中で、無理なく続いていくクラシック”
を本気で考えているから。
CORNICHEが向き合っているのは、
時計そのもの以上に、
その時計と過ごす時間の質なのかもしれません。
腕時計が好きな人にとって、
「いい時計」とは何でしょうか。
歴史でしょうか。
ムーブメントでしょうか。
それとも、所有する満足感でしょうか。
CORNICHEは、そのどれもを否定しません。
ただ、こう問いかけてくるように感じます。
「その時計、ちゃんと日常で使えていますか?」
もしあなたが、
・クラシックは好きだけれど、気負わず使いたい
・時計を“語る対象”ではなく、“付き合う道具”として選びたい
・これから、もう一歩だけ腕時計の世界を深く知りたい
そう思っているなら、
CORNICHEは、とても自然な選択肢になるはずです。
特別な一本ではなく、
“これからの時間を一緒に過ごす一本”として。
それが、
私たちHºM'S" Watch Storeが考える
「CORNICHEを選ぶ」ということです。
※本記事は、HºM'S" WatchStore バイヤーチームによる読みものコンテンツです。
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